2015年 夏の保全活動報告2015年08月25日 21:10

日程:8月22日(土)~24日(月)
●参加者:東京農大風景計画研究室関係者9名
     巻友会1名、南魚沼の方1名、常連参加者の方々3名 計15名
●作業内容:植生裸地への播種用種子の採取(ヒゲノガリヤスの種子)
        8合目付近の裸地化エリアへの追播種及び緑化ネット敷設(40㎡)
        竜王平手前の改修された木道脇への播種及び緑化ネット敷設(20㎡)
        牛ケ岳頂上付近の木道に覆いかぶさったチシマザサの刈り取り(30M)
        牛ケ岳頂上付近のぬかるんだ登山道への踏板の敷設(約25個)

 今年の活動日は、2つの台風の影響のためか3日間ともすっきりと晴れることがありませんでした。巻機山は、ずっと霧に包まれたままで優美な姿を見ることは稀でした。しかしながら、曇りや霧雨のみで大きな天候の崩れも無く、かつ涼しく時より爽やかな風も吹くなど、作業しやすい状況であったとも言えます。そして3日目の下山時に、何とか避難小屋から稜線を見ることができました。
 このブログにも掲載しましたが、先月、南魚沼市役所会議室において、この活動についての地元の方々や常連参加者の方々等との意見交換会を実施しました。その時にご参加いただいた地元の山岳愛好団体「巻友会」、南魚沼市在住の方の参加がありました。お忙しい中、種子採取等の作業をしていただき、大変感謝しております。この場をおかりしてお礼申し上げます。

  

●御機屋直下での種子(ヒゲノガリヤス)採取
初日の作業は、次の日に追播種するための在来種の種取りを行いました。その種は、ヒゲノガリヤスです。この植物は、岩場等で最初の方に出現するいわゆるパイオニア植物であります。巻機山では御l機屋直下の南斜面に群生しており、そこで採取を実施しました。霧雨の中、10数名で約1時間の作業で、中袋一杯の種子(穂)を採りました。

●牛ケ岳へのぬかるむ登山道への木片敷設
※ぬかるみを放置すると、登山者が植生側へ入り込み、植生の裸地部分がさらに広がっていきます。それを防止するために実施しました。

 2日目の作業は、牛ケ岳へ向かう登山道のぬかるみ対策を実施しました。それには、8合目付近の木階段の踏面に適宜設置した木片をいくつか抜き取り、それを写真のように活用しました。この施業を行うことにより、登山者がぬかるんだ道を避けるために笹エリアへ侵入することを防ぎ、植生破壊を食い止める効果があると思います。

●牛ケ岳への登山道整備。笹に覆われていた木道部分を見えるようにした。
 同じく2日目の作業として、これも牛ケ岳へ向かう登山道(木道)の処理を実施しました。それは、笹で覆われた木道があり、ともすればルートが分からなくなってしまうまで、埋没していました。歩行が困難なことと、不用意に笹植生内に登山者が入り、植生の破壊が進む危険性も考えられるため、しっかりと木道が認識できるように刈り取り作業を行いました。


●8合目付近。ヒゲノガリヤスの追播種と緑化ネットの敷設。
 同じく2日目の作業で、8合目付近の裸地化したガレ場への採取したヒゲノガリヤス種子の播種とそこへ緑化ネットの敷設作業を行いました。数年前に同じ施業を行った個所で、緑化ネットが風化により消失してしまっている箇所を行いました。ネット敷設後、既存の植生を丁寧にネットから葉を出してやることにより、その生育を阻害しないようにもしました。

●最終日の朝。やっと晴れました。
 今回の活動は、入山下山日も含め3日間でありました。日帰り、2日間のみ等の参加者もありましたが、皆様のご協力で充実した作業内容となりました。重ねて感謝申し上げます。
 この植生復元作業は、新潟県庁、群馬県庁の保全工事の成果があがり、ガレ場出会った個所がとりあえずは緑の復活がかなりみられるようになってきました。今後は、それらのこまかな追播種や細かいメンテナンス作業が中心となると思われます。

2015 巻機山夏の保全活動日程2015年08月18日 08:04

本ブログでのお知らせが直前になってしまい、申し訳ありません。
2015年夏の保全活動は、下記の予定となっております。
天候により、変更になることもありますので、その際は携帯電話の方へご連絡下さい。

●巻機山保全活動 2015夏の予定
開催日程:2015年8月22日(土)~24日(月)
集合   :22日(土)12:00 巻機山避難小屋前
       23日(日)7:30 同じく避難小屋前
作業内容:ヒゲノガリヤスの種子採取と8合目付近への追播種等
参加申し込み:下記担当者へ連絡をお願いします。
その他:3日目の24日(月)は、本隊撤収作業のみで、保全作業はありません。
     重ねますが、天候の悪化等で予定変更、中止等があります。
     また、参加される場合は、自主的に安全確保の行動をとっていただくよう
     お願いいたします。あくまで自己責任でお願いいたします。
     保険等も自主的な加入をしてください。
担当者、連絡先:
    栗田和弥(東京農業大学) 携帯:090-7817-3018
    横井昭一(東京農業大学OB) 携帯:080-3203-0144
    ※上記2名は、活動実施期間は山中にいるため、電話が不通の可能性あり。
    その場合は、松本清(同団体代表)携帯:090-8005-2209 まで。

夏の活動に向けた事前調査2015年07月28日 06:13

2015年7月26日(日)実施
前日にこの活動の関係者があつまる意見交換会を行いました。その翌日、事前調査と
いうことで、巻機山へ。
この日は、天候に恵まれましたが、全国的に猛暑になっておりこの新潟でもかなり気温があがりました。

このように猛暑が予想されたため、朝の5時前から登りはじめ、8時頃には山頂付近へ
到達するスケジュールで行いました。
さすがに巻機山の山頂付近では、涼しく爽やかな風が吹き空も晴れ渡り最高の状況で
ありました。雪田草原では、ニッコウキスゲがほぼ満開、ワタスゲ、タテヤマリンドウ、牛ケ岳方面ではハクサンフウロなど等、お花がいっぱいでした。

夏の活動に向けた調査としては
・8合目付近の登山道と植生復元エリアの区分け方法の検討(ロープ使用など)
・牛ケ岳付近の裸地や池塘、笹に覆われた登山道のケアなども必要か否か
などを検討してきました。
一応夏の保全活動は8月22日(土)~24日(月)の予定としています。
ご興味のある方は、ご一報ください。



巻機山ボランティア活動の今後に関する意見交換会2015年07月28日 05:13

2015年7月25日(土) 南魚沼市役所 会議室にて
 この活動は、約40年間さまざまな方々の支援を得ながら、市民ボランティア活動として継続してきました。特に新潟県環境企画課の継続的な保全事業のおかげもあり、想定を超える植生復元の成果をあげることができました。
 しかしながら、歳月の積み重ねに伴い、ボランティア活動の核となってきたスタッフなどの状況変化などもあり、今後の活動継続に新たな課題も見えてきました。ついては、これまでこの活動に関わりのある方々からのご意見を聞き、今後の活動の在り方や可能性などを検討したく、この会を開催しました。
 また、このような形で関係される方々が集まるのは初めてであります。

■呼びかけ団体
巻機山景観保全ボランティアーズ
公益財団法人日本ナショナルトラスト
新潟県南魚沼市商工観光課

■参加団体
巻友会会長さん他、清水森林組合長さん、清水区長さん、清水旅館組合さん
新潟県山岳協会自然保護委員会委員長様
県内ボランティア参加者の方々
新潟県環境企画課自然保護係ご担当者様、南魚沼市商工観光課巻機山ご担当者様
公益財団法人日本ナショナルトラスト巻機山ご担当者様
巻機山景観保全ボランティアーズ(代表松本、麻生、栗田、横井、岩附、関口、伊東)

■意見交換
・最近は登山道が荒れてきている。植生復元エリアと登山道の見分けがつきにくく、
登山道を外れて歩く登山者をよく見る。規制ロープなどを使って登山道の明確化を
行うと良いと思う。
・植生復元の意義を適切に伝えれば、作業ボランティアの動員をかけやすいであろう。
・活動のスケジュールが事前にわかれば、会としても参加するものがいると思う。
・山麓に山小屋をもっている大学がある。その方々にも活動の情報を提供すれば協力
してくれる可能性があるのでは。
・地元の方でも巻機山の良さを知らない方も多いと思う。何等か協力していきたい。
などなど

■まとめ
・今後は、この活動の中心スタッフも世代交代を行っていくこととしている。活動初期は、
植生復元の技術論、植生がある程度回復してきた現在は活動運営論が核となってきている。将来としては両面を考えた総合的な管理運営という課題に取り組んでいかなけらばならないと思われます。
・このようなことを考えつつ、これからもこの活動を継続していくこととしたい。今後とも
皆様ご協力をお願いいたします。